2011年直木賞候補作 春から夏、やがて冬 歌野晶午

スーパーの保安責任者の男と万引犯の女の出会い、そして衝撃の結末
「平田はようやく気づいた。
親としての責任をはたせなかったと、英理子にこの五年の間、
自分を責め続けていたのではないか。
事故からしばらくの間、塞ぎ込んでいたのは、
春香を喪った悲しみより、むしろ自責の念からだった。」
(「春から夏、やがて冬」より)
娘を事故で亡くし、後を追うように自ら命を絶った妻。
スーパーの保安係の平田は、そんな孤独、心の闇、絶望を抱えながら
淡々と生活をしている。
ある日、娘と同い年の万引き犯を捕まえる。
そこから物語が動き出します。
平田視点で語る、娘の事故。
それに付随する妻の崩壊。
主観なはずなのに冷静に推察している平田はとても聡明な人だと思いました。
しかし。。。
愚鈍な万引き犯の末永がその愚かさゆえに、
平田の人生を狂わせます。
終始、暗い物語ですが、平田の聡明さ、冷静さ、諦め感、そして優しさ
末永の弱さ、不遇、愚鈍さ、そして優しさに引き込まれていきます。
ぜひ、ゆっくり読んでほしい小説です。


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